黒字なのにお金がない…その「財務の落とし穴」を防ぐ方法

株式会社のびしろ経営

「決算は黒字なのに、なぜか会社にお金が残らない」
「利益は出ているはずなのに、いつも資金繰りに追われている」
こうした悩みを抱える社長は少なくありません。
これは、いわゆる「黒字倒産の予備軍」の典型パターンです。
今回は、利益が出ているのにお金が残らない原因と、それを防ぐための財務の見直しについてお伝えします。
利益と現金は「別物」である
「黒字=お金がある」は、経営初心者のよくある ”誤解” です。
実際の経営では、利益が出ていても現金が増えないケースが多くあります。
なぜなら、利益と現金の流れにはズレが生じているからです。
主な理由は
・売上が上がっているが、回収が来月以降(売掛金)
・設備や在庫に資金を投じている
・借入金の元本返済は、経費に記載されず、現金だけが減る
・税金の支払で、キャッシュが減る
など
つまり、「帳簿上は儲かっていても、実際にはお金が減っている」状態が起こるわけです。
投資がキャッシュを圧迫する
事業を成長させようと、先行投資をすることは良いことです。
設備投資、人材採用、広告、仕入れなど、いろいろあります。
しかし、それに見合う「回収の見通し」が甘いと、資金ショートに直結します。
例えば
・店舗を増やしたが、売上が伸びず、固定費が膨れ上がる
・先行投資で人を雇ったが、教育が追いつかず売上に結びつかない
「いつ、いくら、どのように回収するか」まで計画できていない投資は、投機です。
財務の落とし穴になります。
利益だけを見てキャッシュを管理しない
税理士から「黒字です」と聞いて安心していても、キャッシュフロー表を見ていなければ、危険信号を見落とします。
最低限、次の3つの指標は毎月チェックしましょう
・現金残高の推移
・売上債権(売掛金など)と支払債務(買掛金や未払金)の動き
(入金と支払のタイミング)
・借入金の返済額
これらを「一枚の表」にまとめて把握することで、黒字倒産リスクは大幅に下がります。
利益よりも「粗利」見ないとズレる
営業利益や経常利益は、会計上の計算であり、見かけ上よく見えることもあります。
ですが、「会社の稼ぐ力」を正しく見るには「粗利(売上 - 仕入・外注費)に注目しましょう。
※粗利:売上 - 変動費(販売数量に比例して増えるコスト)
「粗利が減っているのに、売上だけが伸びている状態」
それは、実を言うと、「売上が増えるほどお金が減っていく」危険な構造かも知れません。
利益ではなく「お金」の視点で経営する
これらの落とし穴を避けるために、社長には「PL脳」から「キャッシュ脳」への転換が求められます。
・利益ではなく、手元資金の増減で経営判断する
・投資は「現金回収の見通し」まで考える
・毎月、キャッシュフロー表を必ず見る習慣をつける
これだけで、会社のお金の流れが「見える化」され、安心して攻めの経営ができるようになります。
「黒字倒産」は他人事ではない
「黒字なのにお金が足りない」
これは偶然ではなく、「仕組み」として見直さなければいけない財務の構造的な問題です。
のびしろ経営では、財務を「数字の報告」ではなく、「経営の意思決定ツール」として活かすための仕組みづくりを支援しています。
「うちは大丈夫かな?」と思ったときこそ、見直しのチャンスです。