社員を雇う前に知っておきたい「粗利」の話

株式会社のびしろ経営

「売上が増えてきたから、そろそろ社員を雇おうかな…」
「業務が忙しくて手が回らない。誰かに任せたい」
そんなとき、ちょっと立ち止まって考えてほしいのが「粗利(あらり)」の数字です。
実は、粗利をしっかり把握していないまま人を雇うと、かえって経営が苦しくなるケースが少なくありません。
今回は、社員を増やす前に、必ず押さえておきたい「粗利」と人件費の関係について、わかりやすくお伝えします。
粗利とは何か?
粗利とは「売上から直接かかった原価を引いた利益」のことです。
例えば、商品を1000円売って、その商品を仕入れるのに700円かかった場合、粗利は300円です。
この300円が、会社の固定費(人件費や地代など)や利益の「源泉」になります。
社員の給料は「粗利」から払う
ここが重要です!
社員1人を雇うには、最低でもその人の人件費の3倍の粗利が必要だと考えてください。
例えば
・月給25万円(社会保険込みで、月に約35万円)の社員を雇う場合
→ 月に約100万円の粗利が安定して必要
この「粗利3倍ルール」を知らずに、勢いで人を増やすと…
・売上は伸びたのに、利益が減った
・人件費が重たくて、資金繰りがギリギリ
という「成長しているはずなのに、苦しい状態」に陥ってしまいます。
こんなときは、まず「業務の見直し」を
もし、今の粗利がギリギリで人を増やしたいと感じているなら、
まずは、「雇わずにできる工夫」を考えてみましょう。
・外注・業務委託の活用
・作業のマニュアル化・効率化
・営業や事務の自動化ツール導入
これにより、粗利を増やさずに「時間をつくる」方法が見つかることもあります。
それでも雇うなら「粗利から逆算」で考える
どうしても人が必要な場合は、
「この人を雇って、どれくらいの粗利が増えるのか?」を事前に計算しましょう。
・どの業務を任せるのか
・その結果、社長が何に集中できるのか
・新たに、いくらの売上と粗利が見込めるのか
この「投資の見通し」が立てられれば、雇用は未来の成長につながる前向きな一手になります。
人を雇う判断は「粗利」で見極める
「人手が足りないから」と雰囲気や気分で雇ってしまうと、
会社の体力(キャッシュフロー)を一気に削ることになります。
でも、粗利を軸にして考えれば、
「雇ってもだいじょうぶな状態かどうか」
「雇うことで、利益が残るのか」
冷静に判断できます。
のびしろ経営では、採用と財務のバランスを取りながら、「雇って伸びる会社づくり」を支援しています。
焦らず、着実に、一歩ずつ強い会社へ。
その判断材料が「粗利」なのです。