渋沢栄一の「論語と算盤(そろばん)」 ~金儲けだけに走る危うさ~

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今月から1万円札に描かれる人物が、福沢諭吉から渋沢栄一に変わりましたね。
渋沢栄一は、みずほ銀行やJR、商工会議所をはじめとする、現在の日本を代表する企業をたくさんつくった「近代日本経済の父」とも呼ばれる人です。
著書の「論語と算盤」は有名で、ビジネスをする上で大事なことが書かれています。

ざっくりと言うと、ビジネスは金勘定だけでなく、道徳・倫理や大儀も大事ですよという内容です。

私も、いろんな会社の経営に携わる中で、道徳・倫理はなくてはならないと思います。
特に、大儀について「理念」という形で持つべきだと考えます。
経営をしていく上で論語が重要だということです。

なぜ重要かと言うと、せっかく稼ぐ力があるにもかかわらず、論語の部分がないために事業成長に悩む経営者が多いからです。

今回は、どんなときに「論語」が重要となるのかについてお話しします。

そもそも「論語と算盤」とは?

論語は、「正しく生きるための指針」です。
経営で言うと、道徳や倫理を欠いたことはしないようにすること。大儀(理念)を持って事業を行うことです。

算盤は、「利益を追求する活動」です。
経営で言うと、事業活動を通じてしっかりと利益を出せるようにする事業を行うことです。

経営は、論語と算盤のどちらも欠けることなく、両方の要素をバランスよく持ちながら事業を行うことが必要です。

論語の「道徳や倫理」がないことの弊害

ビジネスは信用の上で成り立っています。
信用のできない人同士でビジネスが成立することはありません。

もちろん、まっとうなビジネスをしている人は、信用できない人との取引は行いません。
ずるいことをやっている人たちも、ずるい者同士で信用できる仲間とつるんでいます。
※褒められたことではありませんが・・・。

昔の日本は、欧州から“ずるいことばかりして金儲けをする”と嫌われ、敬遠されるようになってきていました。
そのことに気づいた渋沢栄一が、日本の将来を憂いて「論語と算盤」を書いたと言われています。

今の時代でも、信用を失うことをして事業の繁栄が続くことはありません。
大企業でも、問題を起こせば窮地に立たされます。
いつの時代も、経営者は道徳・倫理を忘れることなく経営したいものです。

論語の「大儀(理念)」がないことの弊害

稼ぐ力があって、すごい勢いで業績を拡大させている会社の経営者でも、中には経営理念や経営ビジョンがあいまいにしていることが原因で悩んでいる方がいます。

こうした会社では、業績数値(算盤)がすべてになりがちで、業績の増減に一喜一憂することになります。漠然とした不安の中で猛烈に働き、いつまで朝から晩まで働く生活が続くのかと不安になる方が多いです。

また、会社のあるべき姿や向かうべき方向性が上手く考えられない、経営ビジョンがイメージできないなど、未来を描くことができずに悩む方もたくさんいます。
※まだ向き合っていないだけで、いざ向き合うとまったく思いつかないといった潜在的にこのタイプの経営者も多いです

こうした会社によくある問題が、本業が傾くと手当たり次第に他事業に手を出して上手くいかない。業績が好調なときはよいが、業績が悪化するとなかなか経営改善が進まない。従業員を雇っても、経営者が望むような働き方をしてくれない。自社に合った人材が採用できない。従業員が定着しないといったことがよく起こります。

経営は何かを実現するために行う

経営は、経営者が実現したい夢のために事業活動を行うものです。
そのために、しっかりと利益を出して、必要な資金を増やしながら挑戦していくのです。

目的がないと、どこに向かっているか定まらないために、間違った判断もしてしまいます。判断が間違えば、せっかく積み上げてきたものもちょっとしたことで崩れてしまいます。

目的がない会社には、お金が稼げるかどうかだけで物事を考える人しか集まってきません。自分の利益でしか考えず、経営者の思うように動かない人の集まりになってしまいます。

事業活動を継続して、目的を実現するために必要な資金力を持てるように金儲け(算盤)も大事です。
一方で、大儀としての理念(論語)を持って、社会や誰かの役に立ち、働く人が惹きつけられるような魅力ある目的を持って、周囲から応援されるような会社を創りたいものです。

のびしろ経営では、論語と算盤と両方を大事にして、経営計画をつくり、経営目的を実現するための支援を行っています。興味のある方は、ぜひ当社のセミナーへの参加や、コンサルティングをご利用ください。